Foster Salon . japan

[report.02] フォスターサロンはじめました

初めてのフォスターサロン活動

< 別れを惜しんで見送るはずが… >

ある日、貧血気味で出勤したスタッフM氏。

「捕まえてー!」
道路沿いを犬が走っていると騒ぎを聞きつけ、お店から自転車を立ちこぎで駆けつけた。白い顔で黒い短足の犬を連れ帰ってきた。ダックスのようで、ミッキーマウスのような耳だからミックスだろうか。

すぐに警察と保健所に連絡をし、まもなく警察が手続きにやってきた。

「警察では3日保留後、保健所へ連れていきます。保護してもらえるなら2週間は譲渡しないでください。」

警察も仕事をしてるだけとは理解してるが、「保健所へ連れていきます」の顔がとても非情に感じてしまい、強めの声でとっさに「私が責任を持って家族を探します!」と言っていた。私の尊敬するグルーマーさんのセミナーで教わった「フォスター(一時預かり)」のことを意識していた。

まず、すぐに「迷子のお知らせ」チラシを作り、飼い主探しを始めた。名前がわかるような首輪などもなかったので、仮名をクロベエと名付けた。黒くて、団子を食す姿しか思い出せない「うっかり○兵衛」な雰囲気を感じたから。

近所や動物病院での聞き込みをしてみた。保護活動のボランティアさんがチラシ貼りなどしてくださった。お店で保護して1か月半が過ぎても飼い主は現れなかった。そんな時、優しいお客様が「うちで飼いたい」と申し出てくださった。クロベエのご飯の時間もお散歩のリズムもわかってきた頃だった。

保護犬の家族探しはこれが初めてだったので、きちんとしたルールなどなかったが、多忙で不在だったスタッフM氏のいない朝、数日間「トライアル」という形で引き渡した。M氏が出勤、クロベエを探す。トライアルに出た事を伝えると、突然涙目になり「やっぱり私が飼えばよかった」とウルウル泣き出した。

優しいお客様さんという事だけしかわかっていない、どんな環境や家庭生活をしているところにトライアルに出したのか何も把握していなかった。これじゃダメだったんだ…と強く思った。

1日中、口数少なくションボリと過ごすM氏。「戻ってこないかな」とつぶやく事7回。翌朝、M氏の願いが通じたのか、「うちの子(先住犬)と性格が合わなかったの」との理由でクロベエが再び店に戻ってきた。その日、新しい首輪にクロベエと飼い主「M氏」の電話番号が記入された。

クロベエは耳が聞こえないし、てんかん症もある。飼育が難しいと思ったからといって無責任に捨ててしまうのではなく、相談できる場所や人がいることで、少しでも悲しい現実を回避できればいいと思う。今まで、保護活動は行っていたが、サロンを立ち上げて初めて飼主を見つけたことでは、これがフォスターサロンとしての始まりだろう。

しかし、初めてのフォスターサロン活動がお店のスタッフが飼い主になるという結果に「これでよかったのかな…?」という思いがあった。ボランティアさんに報告すると、

「最初の1匹目はだいたいみんなそうだよ。だからタイプ(自分で引き取りたくなってしまう)じゃないワンコを保護しようって考えもよぎるけれど、その時の流れにまかせて進むしかないんだよね」と。みんなそれぞれ思うことがあるのだなと少し安心した。

初めてのことで戸惑いや迷いもあったけど、優先順位を間違えないことは勉強になった。最優先事項は、「命」を救うこと、そして安全に暮らせることだと。

(取材協力:DOG BEACH)